まだ四月だというのに
五月蝿い。もんのすごくでかいハエが、ずっとワタシの周りをぶんぶんぶんぶん飛んでいる。うざ。
洗濯しようと思って風呂場に行ったら、ついてきやがった。
風呂場の窓も脱衣所の窓も開いてるんだから、とっとと外に出ればいいのに、ずっと部屋のまわりでぶんぶんゆっている。
でも風呂場でぶんぶんいってるならまだいいか、と思って居間に戻ったら、またぶーんぶん。
なんで後追いするんだこのハエは!
もしかして・・・・。ワタシの頭にある考えがひらめいた。
このハエ、ワタシを、お母さんだと思っているのでは。
鳥は、卵のカラを破って生まれてきて、はじめて見たものを、母親だと思って後を追ってくるという。このハエも、そうなんじゃないだろうか。ウジから脱皮した時に、初めて見たのがワタシだったから、私のことを母親だと思っているのではないだろうか。
試しに台所にも行ってみる。やっぱりそうだ、ついてきた。
おまえは私のあとをついてくるのだな。そうか、よーくわかった。おまえが私を慕ってくれる気持ちは嬉しい。
でも、いつまでも私のそばにいちゃいけないんだってことを、教えてやらねばなるまい。
私はこれから外に出る。だからおまえも、私のもとを離れ、巣立ってゆくのだ。今こそが、おまえの旅立ちの時。
そう思って部屋の外に立つこと5分。
そろそろいいかと思って部屋に戻ると、またぶーん。
・・・・まだ自立できないようだ。
いつかこのハエが独り立ちするときまで、にくにくしく見守ることにする。だが、頼むから、パラサイトすんなよ。ここで所帯持って子供作ろうとかすんなよ。まじで。
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